第29章 私立リアリン学園!11時間目~イケヴァン・アーサー~
―――バンッ!!!
ハァ、ハァ………。
荒い息とともに、職員室の戸を強く開ける。
と、中にいた全員の視線が一斉に私へと向けられる。
「あのっ!」
勢いよくそこまで言って、息を切らす。
ハア、ハァ―――ッ。
肩で息をして、次の言葉を繋げようとすると。
「待ってましたー。で?これで、全員揃ったねー?」
職員室の奥から、軽やかな声が聞こえた。
嘘、この声って………。
どこかで聞いたことがある―――。
大勢の先生方の隙間から、その声の方に視線を向ける。
「え、あれ………マイン?」
やっぱり。
私と同じように………というか、それ以上に驚いた顔をしているアーサーが、そこにいた。
「アーサー………どうして」
声にならない声で、小さく呟く。
そうして、気づく。
アーサーの横に立っている、これまた見知った人―――伯爵と目が合う。
伯爵も一瞬驚いた表情を見せたけれど、すぐにニコッと笑みを浮かべた。
私は、反射的にペコリと頭を下げる。
―――そうだ、それどころじゃない。一大事!
もう一度、声をあげようとするけれど、それはアーサーの言葉にかき消されてしまった。