第29章 私立リアリン学園!11時間目~イケヴァン・アーサー~
窓に手をかけている私のことなど一切気にすることなく、車は容赦なく走り出す。
「………っ、ちょっと!!」
乱暴過ぎだよ!
と、後続の車も動き出したので、身の危険を感じて端に寄る。
三台の車が去っていくのを、呆然と立ち尽くしたまま、見送るしかなった。
そして、辺りは、静けさが戻ってきた。
何事が、起こったんだろう―――。
逃げられないと観念したから、学園長は、自分から車に乗ったんだよね?
もしかして、私を巻き込まないようにするため?
あの状況じゃ、私まで連れて行かれてもおかしくなかったもんね。
ハッ!
こうしていられない!学園長を追いかけなきゃ!助けに行かないと!
でも………どうやって?
落ち着け、落ち着け。
私一人じゃ無理。とにかく、誰かに助けを求めなきゃ!
職員室に行ったら、もう先生達が来てるよね。ジル教頭なら、なんとかしてくれるだろう。
あ。
車のナンバーを控えておくべきだった!
ああ、もう、私ったら!
重要な事だったのに!!
今更、後悔しても仕方ない。とにかく、急げ!
全速力で職員室へ向かう。