第29章 私立リアリン学園!11時間目~イケヴァン・アーサー~
「が、学園長から、手を離して!」
やっとの思いでそう言い放つ。
わ、私、すっごく震えてる………声、裏返っちゃってるし。
カチカチと歯が鳴り出したので、ギュッと歯を食いしばる。
私に鋭い目を向ける二人の男。かっちりとしたスーツを着込んだ、ごつくて体格のいい男達。
そうだ、私の後ろにもサングラスの男がいるんだった―――。
そのすぐ後ろに二台車が停まっている。
と、いうことは、少なくとも、あと二、三人はこの人達の仲間がいるってことで………。
どう見ても、悪そうな人達。
怖い………。
膝がガクガクとしてきて、両手を握り締める。
でも、他に誰もいない。
私が、助けなきゃ。
それなのに、次の言葉が出てこない。震えながら立っているのが、精一杯だ。
「自分で歩けます!」
突然、学園長は、大声でそう言うと―――二人の男の手を強く振りほどき、スタスタと歩いて、自ら車に乗った。
バタムッ。
学園長が乗り込むとすぐに、サングラスの男がドアを閉め、二台目の車の方へ向かった。
学園長の腕を掴んでいた二人が運転席と助手席にそれぞれ座ると、すぐにエンジン音が響きだす。
え、わっ、どうしようっ!行っちゃうよ!
後部座席の窓が開いたので、急いで近づく。
「マイン先生、これだけは信じて欲しい。私は潔白だ」
「え?待ってくださいっ。潔白って、どういうことですか?」