第29章 私立リアリン学園!11時間目~イケヴァン・アーサー~
宿舎の食堂で朝食を食べていると、スマホに一斉連絡が入った。
『緊急連絡。臨時職員会議のため、大至急職員室に集合のこと』
大至急?
それって、今ってことだよね?
盛ったばかりのごはんに味噌汁、サラダとオムレツをじっと見つめる。
………食べてからでもいいよね?
詰め込むように口に放り込む。モグモグと口を動かし、準備をして学園へと急ぐ。
職員会議なんて初めてだ。
誰かが何か、やらかしたのかな?
少なくとも、私ではないのは確かだ。
宿舎を出て、角を曲がると、学園の前に数台の車が停まっているのが目に入った。
先頭の一台は、後部座席のドアが開きっぱなしになっていて、サングラスをかけた長身の男の人が、誰かを待っているかのように学園の方を向いて立っている。
なんだろう。胸騒ぎがする。
何か、よくない事が起こっている気がする―――。
と。
玄関から、数人が出てきた。
―――!?
私は、目を疑った。
それは、両脇から二人の男に腕を掴まれた学園長の姿だったのだ。
え、何、どういう事?
まさか、誘拐!?
こんな堂々と?
どうしよう………いや、どうしようじゃないよ!助けなきゃ!
私は、ゴクンと唾を飲み込み、意を決して、三人へと駆け寄る。