第28章 私立リアリン学園!10時間目~ルイ&イケヴァン・アーサー~
~車中 ルイ&セバスチャン~
小さくなっていくマインの後ろ姿を、じっと見つめ続けるルイ。
「私は、何も見ていません」
セバスチャンは、大きくハンドルを切りながら、表情を変えることなく、静かにそれだけを告げる。
掴んだ細い腕。驚きで大きく見開かれたクリクリの目。かすかに感じた甘い香り。ほんのりと赤みを帯びた頬。
惹きつけられるかのように、唇を寄せてしまった。
酔っていたから。そんな言い訳をするつもりはない。
マインに、俺だけを見ていて欲しくて―――焦りすぎたかもしれない。
原因はアレだ。チケットの裏に書かれた電話番号。
何があったのか、聞きたかった。
けれど、楽屋で散々シドとの仲を問い詰めたことが脳裏に浮かぶ。
マインの瞳に映る自分が、これ以上、嫉妬深くみっともない男に、なり下がりたくなかった。
ふうっ。
ルイは、深く座席に座り直し、小さくため息をついた―――。