第28章 私立リアリン学園!10時間目~ルイ&イケヴァン・アーサー~
「君を連れて帰ってもいい?」
縮んだ距離に。
耳元でそう、囁かれて―――。
「え………っ!」
ルイってば、何言ってるの?
それって………お持ち帰りってこと!?
キャーッ!!!
どうしよ!
そんな、唐突過ぎだよっ。
こんな展開って!!
………ていうか、マズイよね、マズイでしょ?
ここ、学校だし!宿舎だし!
教師と生徒だし!!
いや、もう、頭ん中、グルングルンッ!!!
「冗談」
ルイが、苦しそうな表情で呟く。
「へ?冗談………?」
ふっと、強ばっていた全身が緩む。
ちょっとぉ、冗談が過ぎるよ。
やりきれない思いで、ルイを見つめ返す。
と、不意に吐息が触れたかと思うと、頬に微かな感触―――。
………!?
一瞬の出来事だった。
今のって………ルイの唇?
―――キスされたの?
そう気づいたら………一気に熱が、全身に広がっていく。
「やっぱり冗談なんかじゃない。けど………帰さなきゃね」
ルイは、助手席に積まれた花束の一つを手にし、私に差し出す。
「もらい物で悪いけど。受け取って」
「綺麗………ありがとう」
花束越しに見るルイは、やっぱり王子様のようで。
目覚めたばかりの、まどろみの中のような感覚のまま、ゆっくりと歩き出す。
そして、そっと、頬に手をあてる―――。