第28章 私立リアリン学園!10時間目~ルイ&イケヴァン・アーサー~
ルイが何か言いたげに口を開きかけたけれど、言葉を発することなく唇が引き結ばれる。
そして、そのまま歩き出したルイに少しホッとする。
チケットをバッグの奥に放りこんで、後に続く。
店を出ると、黒塗りの車が停まっていて、セバスチャンが降りてくる。
と、サッと後部座席のドアを開けてくれた。
………まさか、ずっとここで待ってたんじゃないよね?
それは、ないか。ルイが呼んだんだろうね。
車は、夜の街を音もなく静かに走っていく。
花の香りでいっぱいの車内。
酔いのせいか、バラ色に頬を染めているルイの綺麗な横顔。
ほろ酔い加減の心地よさと相まって、まるで夢の中のようだ。
ルイは、何も話そうとしない。
言葉なんて、いらない。
こうして、そばにいるだけで、幸福感で溢れていく―――。
けれども、それも、つかの間で。
やがて、学園の門を潜り、まもなく女子宿舎。
夢の終着だ。
「今日はありがとう。とっても楽しかった。セバスチャンもありがとう」
「私は仕事ですから」
振り返ることもなく、素っ気なく答えるセバスチャン。
ドアを開け、車を降りようとすると―――。
グイッと、腕を引かれる。