第28章 私立リアリン学園!10時間目~ルイ&イケヴァン・アーサー~
「おごってもらうわけには、いかないよ!」
支払いを済ませたルイに懸命に抗議する。
「いいから。誘ったのは俺だし」
「そういう問題じゃないよ」
お店の前でこんなやり取りするの、みっともないのは、わかっているけど………。
ここで、引き下がるわけにいかないでしょ?
「じゃ、次回は、マインが、おごって」
「次回?」
「給料が出たら連れてって。俺、今日よりたくさん飲むし食べるから。覚悟しといて」
………何気に、出かける約束をしているよね?
断る理由は、ない。というか、断りたくないっ。
「………うん。わかった」
やっと素直に頷くと、ルイは、嬉しそうな笑顔を見せた。
その笑顔が、あまりにも眩しくて、ため息が出そうになる。
手にしていた財布をバッグに戻し、ついでにハンカチを取り出す。
と。
ヒラヒラ~~。
一枚の紙がバッグから舞い、クルクルと表と裏を交互に見せながら、地面に落ちていった。
それは、アーサーからもらったチケットだった。
あっ、と思った時には、もうルイが拾いあげていて。
「落としたよ」
「あ、ありがと」
受け取りながら、自分がすごく動揺しているのに気づく。
ルイには、知られたくないと無意識に思っているから―――。
「それ、誰かの連絡先?」
「………うん」
それ以上、何を言っていいのか、わからなかった。
説明するのも変だよね。それに、簡単に連絡先を受け取るような女と思われたくなかった。