第28章 私立リアリン学園!10時間目~ルイ&イケヴァン・アーサー~
~身分違い~
「ここにしよう!」
『イタリアンバル・チャオ』と書かれた陽気な看板を指差す。
最初にルイが入ろうとしたお店は、いかにも高級感あるレストランで、二人のドレスコード的には相応しかったけれど、私にとって、お財布的にも心境的にも落ち着かないので申し訳ないけど却下した。
代わりに見つけたのが、このお店!
通りにズラリと並ぶ飲食店の看板をキョロキョロと見渡し歩いていると、その中に見知ったお店を見つけたのだ。
実は、ここ、芽瑠先生からもらったファイルの中にあった、お店の一つなのだ。
「いらっしゃいませ。お二人席でよろしいですか」
言われるままに頷き、店内を進む。
と、案内されたのは、コの字型のソファのある席。
けれど、端の部分には腰かける部分がなく、ソファの中央に二人で並んで座ることになる。
それに、ソファに埋もれている形で座っているので、二人きりの空間のような密室感がある。
………ルイが、近いよぉ。
ドキドキしながら、平然さを装ってメニューを開く。
最初のページには、美味しそうな飲み物がズラリと並んでいる。定番なワインにビール、オリジナルカクテルと種類が豊富だ。
何飲もうかな。
あ、いけない!
そうだ、ルイは、飲めないんだった!
生徒だってことを、すっかり忘れていた。