第28章 私立リアリン学園!10時間目~ルイ&イケヴァン・アーサー~
車は、滑るように走り出した。
ホールのある街は、高層ビルが連なり、車の往来もひっきりなしで、いかにも都会的だ。
車が進んで行くにつれて、遠くに見えた、色とりどりの屋根の家々の景色が近づいてくる。
その街並みは、そこだけおとぎ話の世界のようなワクワクする趣きをたたえているように、キラキラ光って見える。
そして、夕暮れ時のその街は、茜色に染まっていて、幻想的に浮かび上がっている。
初めて学園に来た日を思い出す。
あの時は、ものすごく緊張していて、外の景色を楽しむ余裕などなかった。
今、改めてこうして見ると、私の住んでいる街って、とっても綺麗―――。
しばらくすると、学園都市の入口に差し掛かり、セバスチャンが皆のIDをかざす。
承認を得られると、後部座席に座っている私とルイにIDを返した。
警備の厳重な街。だからこそ治安が保たれているんだろうね。
「その角で停めて」
「承知しました」
角を曲がると、ゆっくりと車が停まった。
そっか、食事に行こうって言ってたもんね。
セバスチャンは、何も聞こうとしないけど………。
何か言わなくていいのかな。
そう思いながらも、ルイに続いて黙って車を降りる。
バタン。
ドアを閉めると、セバスチャンは無言のまま私達を置いて、すぐに走り去って行った。