第28章 私立リアリン学園!10時間目~ルイ&イケヴァン・アーサー~
ホールの駐車場に、見覚えのある黒塗りの車が停まっている。
後ろのトランクが開かれると、そこにはすでに花束の山が入っている。
「ルイ様の分は、助手席に置いてもらえますか」
ルイは、助手席に花束を置くと、先に車に乗り込んだ。
セバスチャンが、花束を丁寧にトランクへと入れていくのをじっと待つ。
ん………?
トランクの隅の方に紙袋が置いてあるのが、目に入った。
その中に入ってる物って、缶詰めかな?
なんか………もぐにゃんのラベルが、チラリと見えるんだけど。
「あれ、猫缶?」
クルリとセバスチャンの方に向き直ると………。
「痛っ!」
額に、鋭い痛みを感じる。
は?
今………デ、デコピンされた?
「あなたは、何も見ていない」
セバスチャンの射るような目つきに威圧されながらも、もう一度言う。
「だってあれ、猫缶………」
「あなたは、何も見ていない」
「う、でも、見たし。猫か………」
「見ていない」
セバスチャンに詰め寄られて、観念して黙ることにする。
私の持っている花束もさっさと積んでいき、猫缶は見えなくなっていった。