第28章 私立リアリン学園!10時間目~ルイ&イケヴァン・アーサー~
「そのドレス、シドが見立てたの?」
急に話題が変わって、また戸惑う。
「ううん、私がひと目見て気に入ったの。けど、びっくりするくらい高くて私の給料じゃ買えないから………って、値段の話はしなくてもいっか」
「だから、シドに買ってもらったんだ?」
あれ、なんか………ルイのトゲのあるその言い方に、少なからず嫌な気分になる。
「言っておくけど、お願いして買ってもらったわけじゃないから。私みたいなのでも、こんな豪華な音楽会に相応しくしたいって思ったから素直に受け取ったまでだし」
キュッと唇を噛みしめ、精一杯の反論をする。
このドレスが、私なんかが簡単に買えるような物ではないことは、容易に推測できる。
ルイは、何が言いたいんだろう。私、場違いって、思われてるのかな。
………そんなことわかってる。
ああ、そうだ。この音楽会に来たいって、元々無理を言ったのは、私だ―――。
ルイは、仕方なくチケットを譲ってくれただけなのだろう。
演奏を聴いて、そのまま気分よく帰ればよかった。
私、なんで、ここにいるんだろう………。
「ごめん。批判するつもりはなかった。ただ、君がシドの………」
「え」
「なんでもない」
………?
さきほどからのルイの不可解な言動に、首を傾げるばかりだ。