第28章 私立リアリン学園!10時間目~ルイ&イケヴァン・アーサー~
~楽屋~
電話番号の書かれたチケットをバッグにしまうと、フウッと息をついて、歩き出す。
楽屋のある裏口へと回り、係の人に告げると、すぐにルイの楽屋に案内してくれた。
大きく開け放たれたドアの向こうに、荷物を片付けているルイの姿が見えた。
「ルイ、お疲れ様。とてもいい演奏だったよ」
「マイン先生。ありがとう」
私に気づいて振り返ったルイは、すっごく無表情。疲れてるのかな。
「すごい花束だね」
なんとか会話を続けようと、部屋を見渡す。
テーブルや椅子の上にも溢れるほどの花束が置かれていて、部屋中に甘い香りを漂わせている。
「………」
なんともいえない奇妙な沈黙が続く。
なんか………気まずいなあ。
「マイン先生は………」
ルイの言葉が、不自然に途切れる。
「ん?」
「いや、いい」
「………?」
ハァと、小さくため息をつくルイ。
それから、一瞬キュッと唇を引き結び、意を決したかのように話し出す。
「シドとは、どうして一緒にいたの?」
そう問われて。
てっきり、音楽会の話をするものと思っていたから、何を聞いているのか、すぐには理解できなかった。
「シドとどうして一緒にいたかって?シドが怪我をしたから、隠れ家に………」
「怪我する前」
私の言葉を、強い口調で遮るルイ。
「えっと、怪我する前?二人で街で買い物してたよ」
「約束してたの?」
「うん」
「それは………つまり、シドとつきあってるってこと?」