第28章 私立リアリン学園!10時間目~ルイ&イケヴァン・アーサー~
もう、それだけで舞い上がってしまって、どうしていいかわからなくなる。
アーサーをジッと見つめたまま、言葉を探す。
「………」
………私の出方を待っているようだ。
けれど。
私は、もう自分がどうすればいいのか判断できなくなっていた。
連絡先の交換―――スマホを取り出せばいいのだけど、どこかでためらいがあって動けない。
諦めかけてたチャンスがまた巡ってきたのに、行動に移せない。
私のバカ!!!
そんな私を見て、アーサーが、ため息をついている。
どうしよう、何か言わなきゃ、何か………。
と、アーサーは胸ポケットからチケットとペンを取り出し、壁に押しあて、何かを書き込んでいく。
「コレ、俺の電話番号。絶対、電話して」
そう言って、チケットを私の手に握らせると、足早に去って行った。
一瞬の出来事に、頭がついていかない。
な、何が起こったんだろう………。
電話番号の書かれた、座席番号A-7のチケットを握り締め、しばらくの間、呆然とその場に立ち尽くしてしまった―――。