第28章 私立リアリン学園!10時間目~ルイ&イケヴァン・アーサー~
「せっかく誘ってもらったのに、本当にごめんなさい」
「そっかー、残念」
「もっと君とゆっくり話したかったけれど仕方ないね」
伯爵も残念そうな顔をする。
「じゃー、またね」
けっこうあっさりと、アーサーは片手を上げて背を向けた。
伯爵に軽く頭を下げると、去って行く二人を、なんとはなしに見送る。
………。
連絡先を教えようと思い立って、引き返して来るんじゃないか、なんて。
かすかな期待を胸にしている自分がいる。
けれど、そんな様子は、微塵もなくて………。
『じゃ、またね』なんて。
またって、いつだろう。
もう二度と会うことなんてないに等しいのに。
きっとアーサーは、誰に対してもそう言うんだろうね。
会ったばかりの、ただ単に隣りの席になっただけのコを、気軽に食事に誘ったり。
そういうのが、あたりまえの人なんだ―――。
ズキン。
なんだろう、この感覚。
胸が締めつけるられるような息苦しさ。
出会って、少し言葉を交わして、ほんの数時間並んで座っていただけなのに。
どうして、こんなにも切なく感じるんだろう………。