第28章 私立リアリン学園!10時間目~ルイ&イケヴァン・アーサー~
「どうかしたかい、アーサー」
「伯爵」
アーサーと呼ばれた目の前の彼が、後ろを振り返る。
………今、なんて言った?
自分の耳を疑いそうだった。
伯爵?伯爵って、言ったよね?
何、そのものすごく高貴な呼び名!
落ち着いた物腰柔らかな雰囲気の伯爵が、ゆっくりと近づいてくる。
「んー、単なる俺の勘違い。解決済みだから問題ナシ」
そう言って、アーサーは、また私の方に向き直る。
「俺はアーサー、アーサー・コナン・ドイル。こちらは、サンジェルマン伯爵」
私は、慌てて立ち上がる。
「虹野マインです」
ペコリと頭を下げる。
「可愛らしいお嬢さんだね」
優雅な笑みを浮かべる伯爵。
「おっと、マインのコト、口説いてイイのは、俺だけだから」
途端にアーサーが、私の肩を抱く。
「えっ、あのっ!!!」
驚いて、つい大声をあげてしまった。
その声に、周りの人が何事かとこちらに視線を向ける。
「アーサー」
たしなめるように低い声でアーサーを睨む伯爵。
「あー、ゴメン、ゴメン。ちょっと度が過ぎた」
アーサーは、大げさに両手を広げて、周囲に愛想よく手を振って見せる。