第28章 私立リアリン学園!10時間目~ルイ&イケヴァン・アーサー~
ハッとして、バッグの中を探る。
「ええっと、ちょっと待ってくださいね」
チケットを取り出して、座席番号を確認する。
チケットに書かれている席番号はA-8。座っているこの席もA-8だ。
「………いえ、私は席を間違えてないですけど?」
「えー、おっかしいなー。だってソコ、A-8だよね?」
「A-8ですね」
「A-7とA-8の席が、俺達の席なんだけどー」
俺達って………あ、連れがいるんだ。
そうだよね、こんな素敵な人、女の人が放っておかないもんね。
ちょっと残念、なんて、思ったりして。
胸ポケットから二枚のチケットを取り出して、首を傾げながら、覗き込むように見ている。
困ってるのか面白がってるのか、よくわからないその仕草が妙に茶目っ気溢れていて、ちょっとカワイイかも………。
「あー、コレ、A-6だ」
「え?」
「雨のせいでインクが滲んじゃっててさー、6が8に見えるんだよね。俺の見間違いだった。ゴメンね」
そう言ってウインクを見せる彼に、鼓動がトクトクと速まっていく―――。