第28章 私立リアリン学園!10時間目~ルイ&イケヴァン・アーサー~
~音楽会~
音楽会が開かれるナントリーホールは、世界でも有数のコンサートホールだ。
厳かな佇まいではあるが、伝統美と現代美が調和したモダンな雰囲気を醸し出している。
会場には、きらびやかに着飾った人々で溢れていた。
―――このドレスにしてよかった。
背筋をピンと伸ばし、ふわりと裾を揺らしながらも落ち着いた足取りで、優雅に席に着く。
入口でもらったパンフレットに目を落とす。
『この音楽会は、日本、ウィスタリア、シュタイン三ヶ国間の音楽による交流を盛んにしようと学生達が自主的に運営し………』
表紙に書かれている挨拶文を読んでいると………。
「あれー?」
頭の上から、疑問符のついた声が響いてきた。
なので、思わず顔を上げる。
端正な顔立ちの男の人が、私を見ろしている。
目が合った瞬間、ドキッとしてしまった。
なんていうか………妖しい色香を感じさせる彼。
その独特の存在感に惹きつけられ、見惚れてしまいそうなくらい―――。
「ソコ、俺の席なんだけど?」
「え?」
すぐ目の前に指を差されて………ちょっ、鼻に触れそうっ。
彼の指から逃れるように、少し身体を反らす。