第28章 私立リアリン学園!10時間目~ルイ&イケヴァン・アーサー~
「本当に大丈夫そうだね。じゃ、俺は行くけど。クロードにマイン先生のドレス頼んでおいたから。ロベール先生が持って来てくれるはず」
「あ、ドレスはあるんだ。昨日、シドに買ってもらったの」
「………そうだったんだ。余計な気回しすぎたね」
一瞬、ルイが眉根を寄せたような気がした。
「ううん、気遣ってくれてありがとう」
ルイはもう背を向けて、玄関のドアに手をかけている。
と、こちらに向き直る。
「音楽会が終わったら楽屋に来て」
「ん、わかった。演奏、頑張ってね」
玄関のドアを開けると、太陽は昇っているのに、まだなんとなくポツリポツリと降っている雨。
「午後には、雨止むはずだよ」
パチンと傘を開いて、朝日の中を去って行くルイの後ろ姿を見送る。
ホウッと、ため息をつく。
ルイ………ずっと、硬い表情だった。
音楽会前で緊張してるのかな?
うまく演奏できるといいけど。
気を取り直して、バスケットを開く。
「シド、お腹すいてるよね。ごはんにしよう!おにぎりにハムサンドと、あ、イチゴサンドも入ってる」
「イチゴサンドって何だ。んな、甘ったるそうなもん食いたくねえ」
「え~、美味しいよ?食べてみなよ」
そう言って、笑い合う。
あ、なんかやっと日常が戻ってきた感じ。
よかった―――。