第28章 私立リアリン学園!10時間目~ルイ&イケヴァン・アーサー~
カタン。
傘立てに傘を入れ、ルイが手にしていたバスケットを私に差し出す。
「これ、食事。何も食べてないだろうから」
受け取ってテーブルに置くと、ちょっと中を見てみる。
サンドイッチとおにぎりが入っている!
クウッと、小さく私のお腹が音を立てる。
もう一つの袋を受け取って、中からペットボトルのお茶と魔法瓶を取り出す。
「それは、スープ」
「ルイが作ってくれたの?」
「アランに頼んだ。けど、何も教えてないから………ここにマイン先生がいることとか。だから、アランにお礼とか言わないで」
「うん、わかった」
「それから、これ」
一枚の紙を渡される。
「チケット?」
「今日の音楽会の」
あ、だから、ルイは正装しているのか。それに、音楽会は今日だった。
「ありがとう。でも………シドを置いて行けないし」
「ロベール先生がじきに来る。俺は、午後の部で演奏するから、ゆっくり来るといいよ」
「………」
「行って来いよ」
ためらっていると、部屋の奥からシドの声。
「ロベールが来るなら、お前はお役御免だ。何人にも看病されちゃ、たまんねえ」
「シド、起きてたの?」
「起きたんだ」
「起こしちゃってごめん。具合どう?」
「いつまでも心配してんじゃねえよ。こんな傷くらいたいしたことねえ」
そう言って、ニヤリといつも通りに笑って見せたので、ルイと顔を見合わせる。