第4章 ピアノレッスン~シド~
「そうやって目ぇ潤ませて見つめりゃ、男は皆落ちるよな。………ルイとも、もうヤッたのか?」
「………っ、何言ってるのよ!そんなわけ………んっ、ん………」
―――途端に、シドの唇に、唇を塞がれる。
両の手で頭を挟まれ、壁に身体を押しつけられる………。
私の手から放たれた楽譜が、ハラハラと舞っていく―――。
苦しいほどに重なる、唇。
呼吸を求めて、口を開けると………待っていたとばかりに、シドの舌が入り込んでくる。
「ん………っ、シ、ド………やめっ………」
シドは顔を傾け、更にキスを深める。
両手でシドの胸を押し返そうとするも、びくともしない………。
―――っ!!!
頭を抑えていたシドの両の手が、一瞬離れたかと思うと、その手は私の両手首を掴み、強く壁に押しつける。
と、シドの片膝が、脚の間に入り込む―――。
「………っあ、………っ、やぁっ!」
ありったけの力で、抵抗するも………シドの力に、かなうわけがない。
このままじゃ………。
グジッ―――。
鈍い音とともに、シドが顔をしかめて、顔を離す。
「………痛ぇな」
精一杯の抵抗で、シドの舌を噛んだ。
「手、離して!」
口の中は、シドの血の味が広がっている………。
両の手首は、シドにしっかりと掴まれたままで、ジンジンと痛みを訴えている。
指が、痺れて動かない。
それでも………なんとか逃れようと手足を動かし続ける。
「暴れんな」
シドは、笑みを浮かべ、顔を近づけてくる―――。
「また噛みつかれたら、かなわねえからな………」
そう言うと、頬にシドの髪がサラリとかかり………。
耳のすぐ横の首筋に、キスをされる。
「………ぁ」
吐息とともに声がこぼれ、慌てて唇を閉じ………。