第26章 私立リアリン学園!9時間目~シド~
「あー、お前にイイ物やる。そこ、一番上」
シドが思い出したように、すぐ横の本棚を指差す。
ギッシリと難しそうな本が詰まった本棚の下は、三段の引き出しになっている。
私は、一番目の引き出しを開けてみる。
口の部分を大きなピンクのリボンで結んである、上品な白い包みが現れた。
「これ?」
「就職祝いだ。学園じゃ渡しづれえからな」
就職祝いって………これ、前から用意してたってこと?
「もらってもいいの?私、クビになるかもだよ?」
「今回のこと、ジルに見つかったらって心配してんのかよ?」
「辞めたくないけど。シドと関わるなって約束破っちゃったし」
「俺が辞めさせねえ。お前は、俺が推したんだしな」
「ルイが、じゃないの?」
「………ずいぶん、ルイと仲いいみてえだな。ま、いいか。芽瑠の代わりの教師を探せってジルに依頼されてたんだ。夏休み中に、あちこち声掛けて候補集めてた」
「それでルイが私をって、言ったんだね?」
「ああ、ちょうどルイが通ってたからな。あそこは、学園経営のゼミだしな。なんだ、知らなかったのか?」
私は、目を丸くしてシドを見つめた。
「そんな繋がりがあったんだね」
「優秀なのは、何人もいたが、その中でお前が一番だった。最高だ。俺は、お前しかいねえと思った」
ドキンッ。
まっすぐなシドの瞳に、心臓が射抜かれそうだった。
………シドは、『教師として』の私を言ってるんであって。それ以上の意味は、ないんだよね。
だから、ドキドキする必要なんか全然ないんだってば!