第26章 私立リアリン学園!9時間目~シド~
「シドの後つけてた、あの人にやられたの?」
「いや。けど、おそらく、ヤツの一味だろうな」
「狙われるような心当たりがあるの?」
「俺を煙たく思ってるヤツなんざ、五万といるからな」
「だからって、刺すなんて」
「脅しのつもりでナイフ振り回してっから、お前に刺す度胸なんかねえだろって言ってやったら、逆上しやがった」
「どうして、そういう挑発をするのよ!?」
「仕方ねえだろ、そういう性分なんだ」
シドは、フウッと息を吐き出す。
「ごめん、しゃべるの辛いよね?」
「こんな傷、たいしたことねえ。巻き込んじまって悪かったな」
「ううん。シドが無事でよかった」
ケガをしているせいか、シドの口調はおとなしく、物腰が柔らかい。
なので、私も素直な思いを口にしたのだ。
「かわいいこと言うじゃねえか。怪我してなかったら、今すぐ抱いてやるとこだがな」
「だ、抱いてやるって………バッカじゃないの!?」
前言撤回。やっぱり、いつものシドだ。
そう思いながらも、普段の調子のシドに安心する。