第26章 私立リアリン学園!9時間目~シド~
~お祝い~
シーツの擦れる音がして、ビクリとする。
静かな広い部屋に、そんな小さな物音さえ、妙に響いた。
シドが、目を覚ましたようだ。
私………いつのまにか寝ちゃってたんだ。
夜明けには、まだ遠い。
かすかに雨の音が聞こえる。
起き上がって、シドの方へと向かう。
「大丈夫?」
仰向けに寝ているシドが、なぜか小さく見える。
キングサイズのベッドだから、そう見えるのかな。
いつも獰猛な光を放っている瞳が、怪我のせいで弱々しく映るからだろうか。
「なんで、お前がいるんだ」
「なんでって」
シドは、横目で私を睨みつけ、自分の身体に巻かれた包帯に手をあてる。
「お前、じゃねえな………ロベールか」
私は、黙って頷く。
「ってことは、ジルも知ってるんだな」
「ジル教頭には、知らせてないよ」
「けど、いずれ耳に入っだろ」
「え、そういうものなの?」
「そういうもんだろ」
………ジル教頭に知られるって。それって、かなりマズイ。
「ジルじゃなきゃ、誰に頼ったんだ?」
「ルイ」
「あ?アイツに?どういうことだ」
私は、ここまで来た経緯をシドに話して聞かせた。
カフェの店主に、この隠れ家の場所を教えてもらったこと。ルイに電話をして、ロベール先生が治療に来てくれたこと………。