第26章 私立リアリン学園!9時間目~シド~
ロベール先生が、手際よくシドの身体に包帯を巻きつけていく。
「今、麻酔で眠っているだけだから心配ないよ。でも、できれば、マイン先生に付き添っていてほしい。俺は、すぐ学園に戻らないといけないんだ」
「もちろん、います」
「そう、ありがとう。マイン先生の外泊届けを出しておくね。明日、また来るよ」
ロベール先生は、後片付けを済ませると上着を羽織り、玄関へと向かう。
「大変だったね。こんなに汚れて………マイン先生も頑張ったね。キッチンの奥にシャワーがある。タンスにタオルやTシャツとか入ってるはずだから、好きに使うといいよ」
「ありがとうございます」
勝手知ったるって、感じの口ぶり。
そういえば、ルイも青い屋根のって、すぐ出てきた。
皆、ここがシドの隠れ家って知ってるんだね。
つまり、シドが学園の特命を受けていることも知ってるってことだよね?
聞きたいことは、山ほどあった。
けれど、急いで帰ろうとしているロベール先生を引き止めるわけにはいかない。
明日もまた来てくれるんだし、その時でも遅くはないか。
ドアを開けると、シトシトと雨が降っている。
「これ、借りていくね」
傘立てにある三本の傘のうち一本を手に取り、ロベール先生は、帰って行った。