第26章 私立リアリン学園!9時間目~シド~
~治療~
ルイとの電話を切って、しばらくした。
あと少しで洋館に辿り着く―――そんな頃、私達の前に、ロベール先生が現れた。
正直、すごく驚いた。
ルイに頼まれたと言うロベール先生は、医師の資格を持っているとのことだった。
二人でベッドにシドを寝かせると、ロベール先生は、ジャキジャキとシャツをハサミで切り、治療を始めた。
あまりの出血の多さに、目まいがしそうだった。
身体の力が抜けていき、床にペタンと座り込んでしまう。
頬に流れ落ちてきた、雨か汗か涙かわからないものを拭うと、手についた血と混ざり、朱になって広がった。
シドとロベール先生を見やりながら、汚れた顔をハンカチで無機質に拭く。
「ナイフで刺されたようだね。傷は思ったより深いけど、命に別状はないから安心して」
その一言を聞いて、ホッとしたら、また涙が溢れてきた。
良かった………。
雨が、窓を小さくポツポツと叩いている音がかすかに聞こえるだけ。
静かだ。
改めて部屋の中を見回す。
ここは、すべてを見渡せる広いワンフロアになっている。
部屋と部屋の仕切りを取り払って、改装したのだろう。
今、シドが横になっているベッドは右端にあり、その横には、整然と並んだ本が収められている本棚とタンス。
真ん中には、ローテーブルを囲うようにソファが置かれている。
左側には、キッチン。食器棚と冷蔵庫がある。
それだけだ。
無駄な装飾は、一切ない。