第26章 私立リアリン学園!9時間目~シド~
『わかった、落ち着いて。今、どこ?』
「シドの………隠れ家の、近く」
『青い屋根のだね?とりあえず、そこまで………』
「む、無理なの。私一人じゃ抱えられないのっ」
ボロボロと涙が溢れてきて、どうにもならない。
『マイン先生も、ケガしてるの?』
「わ、私?私は、平気。でも、シドは、いっぱい血が出てて………どうしよう、どうしたらいい?私、私だけじゃ………どうしようもできなくてっ」
『すぐ助けに行く。そこにいて』
電話が切れる。
グイグイと、汗と涙を拭う。
もう一度、シドを肩にかけ、奮闘する。
ギリギリと音を立てそうなくらい、歯をくいしばる。
それなのに。
立ち上がることさえできない。
重力のままに投げ出された手足。
背中にズシリと感じる、シドの全体重。
―――意識のない人って、こんなに重いんだ。
自分の無力さに、情けなくて、また涙が滲んできた。
ポツン、ポツン。
ゆっくりと、容赦なく、雨は、忍び足を始めた。
負けじと足を踏ん張り、一歩を踏み出す。
ズル………ズル………。
引きずるように、少しずつ前へ進む。
ルイが助けに来てくれる。
それまで私が頑張らなきゃ。
頑張れ、頑張れ、私。
頑張って、シド。
だから、お願い。
死なないで―――。