第26章 私立リアリン学園!9時間目~シド~
そのままシドを背負って立ち上がろうとするけれど………。
無理………っ、重いぃ。
その間にも、私の両手もシドの血で赤くなっていく。
どうしよう、どうしよう………。
すぐ目の前の、シドの上着の内ポケットに手を入れる。
スマホと鍵の束。
この中に、あの洋館の鍵もあるはず。
とりあえず、あそこまで運びたいけれど………。
スマホの画面を開く。
電話モードにして、履歴を見る。
一番上に、『ジル』とある。
ジル教頭なら、すべてを知っているから助けてくれるはず。
けれど、あれだけ釘を刺されたのに、一緒にいることを知られたら………。
ううん、迷ってる暇なんかない。
番号を押そうとして。
次の履歴に、ルイの名前を見つけた―――。
トゥルルル、トゥルルル………。
『何の用?』
長いコールの後。
相手がシドだと思っているようで、嫌そうな口調のルイが出た。
「ルイ、助けて」
『マイン先生?』
電話の向こうで、明らかに驚いているルイの声。
「お願い、シドが死んじゃう………っ」
私の目から涙が溢れてきた。
こらえようがないほどに、後から後から涙が伝っていく―――。