第4章 ピアノレッスン~シド~
~焦り~
―――バタンッ。
大きな音をさせて、ドアが無造作に開け放たれる。
………ルイが、戻ってきた?
一瞬、そう思ったけど。
驚いて顔を上げると、そこには険しい表情のシドの姿があり、そのまま部屋に入って来る。
勢いのついたドアは、音を立てて閉まり―――。
「これは、何だ」
シドは、持っていた紙の束を突きつけて来る。
戸惑いながらも、それを受け取る。
「………楽譜?」
「んなの、見りゃ俺だってわかる」
「え、あれっ、これ、ルイの………っ、なんでシドが持ってるの?………ちょっと、シド!ルイに、何か言ったでしょ?」
「………こっちが、質問してんだ。いいから、答えろ。この楽譜は、どこから出てきやがった?」
シドのあまりの剣幕に………私は、後ずさりしながら、ゆっくり答える。
「………ウィルツに行った時、もらったの」
「もらった?誰に?」
後ずさった分だけ距離を詰められて、なぜだか胸さわぎがした。