• テキストサイズ

【イケメン王宮・イケヴァン】りありん劇場♥R18

第4章 ピアノレッスン~シド~




~ルイとシド~





ピアノ室を出たルイは、ため息をつきながら、城の長い廊下を歩いていた。

目をまんまるにして、不思議そうに首を傾げていたマインの表情が、頭から離れない。

彼女は、何もわかっていない。

俺が教えるべきなのか?

それとも、他の誰かが―――。



………いや、知らない方がいいのかも。



ルイは、今度は、深いため息をつく。

こんな日は、いい事がない。

………なんとなく、嫌な予感がする。

そして、予感は的中した。



―――ガチャリ。

廊下の先にあるジルの部屋のドアが開き、中からシドが出てくる。

途端にルイは、顔をしかめる。

通りがかったルイと視線が合うと、シドは不敵な笑みを浮かべる―――。



「よお、お姫様とのレッスンはどうだ?順調か?」



「………」



そんなシドから視線を外し、歩調を緩めることなく、無言のまま歩いていく。

そのまま通り過ぎていくのかと思いきや………。

すぐ近くまで来ると、足を止め、いつになく鋭い目つきをしてシドを見ている。





―――知るべきなのは、シドだ。





「何か言いてえ事、あるみたいだな。なんだよ?」

「………シドが、弾くつもりだったって?」

「………あ?」

「この曲」

ルイが手にした楽譜に目を向けるが………。

「知らねえなあ」

笑みを崩さず、軽い口調で答える。



「シドに、この曲を弾いてほしいって、マインが言うのが………どうしてか、わかった気がする」



「は?何言ってんだ………」



楽譜をシドに押し付け………シドが思わずそれを受け取ると、さっさと歩き出す。



とっさの事に、呆気に取られる。

手に力を込めると………そこには、渡された楽譜が、そのままに存在している。



「………っ、おい、大事な楽譜、忘れてっぞ。いいのかよ?」



シドの言葉に耳も貸さず、去って行くルイ。



「おいっ!どうすんだよ、これ!」





「相っ変わらず、わけ分かんねえ奴だな」

そう呟くと………シドは、チッと舌打ちをしてルイの背中を見送った―――。







/ 978ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp