第26章 私立リアリン学園!9時間目~シド~
サッと上体を起こして、シドの手から逃れる。
行き場のなくなった手をわざとらしくハラハラと振り回しているのを眺めてから………。
決意を込めて、まっすぐに、強くシドを見つめる。
「報酬は払わない。代わりに情報を教える」
「情報?等価交換ってヤツか。いいぜ、見合うだけの情報ならな。話してみろよ」
「………」
やっぱり、この展開だと私から話さなきゃいけないよね。
不利なのは、承知だ。
だけど、こうするしかない。
思い切って、黒崎のことを話し出す。
昨日の出来事。
ミシェルと話していたところから、資料室を出るまでの一部始終を事細かく話した。
「それで?」
話し終わると、シドは顔をしかめる。
「それでって………これが全部」
「黒崎が、教頭になりたがってるなんざ、学園の誰だって知ってる。あわよくば学園長の座も狙ってるってのもな」
そう言われると、どうしようもない。
「でも、黒崎が何か企んでるってのは、わかるよね?今すぐにでも行動起こしそうな勢いだよね?」
「そんな情報じゃ『等価』とは言えねえな。却下だ」
「話したのに!?」
情報交換。
いい案だと思ったのに。
それを、こんな簡単に、あしらわれるなんて―――。
悔しくて唇を噛みしめ、俯く。