第26章 私立リアリン学園!9時間目~シド~
「それくらい、めかしこんでいけ。決まりだな」
………勝手に決めないでほしいっ。一式買ったら、破産しちゃうよ~っ。
「これも着てみろよ」
そう言ってシドに渡されたのは、ブルーローズのシックな大人っぽいワンピース。
今着ているのよりもおとなしめな、普段にも着れそうなデザイン。
これくらいなら、私でも買えるかも。
試着室でコッソリ値札をチェックして、袖を通す。
「どうかな」
「思ったとおりだ。これ着ていく。他のは包んでくれ」
「かしこまりました………失礼致します」
店員の一人が、私の襟首の値札を外す。
えっ、えっ?
何、何?どうなってるの?
呆然としている私をよそに、店員達は、テキパキとさっきまで着ていた私の服を畳み、試着したワンピースや靴を包んでいく。
「待って、シド。私、あれ、買うなんて言ってないし。しかもこの服、値札切られちゃったんだけど!?」
「買ってやる」
「は?いやいやいや、そんなのダメだよ!買ってもらう理由ないし。猫缶だって買う余裕ないんでしょ?それに、これ全部で、いくらすると思ってるの?バカなの?」
「バカって………お前な。金くらい持ってる。学園から、たんまり報酬もらってっからな」
「あ」
それって。
昨日、学園長室に呼ばれたこと、シドは知ってる?
………ジル教頭の手下だもんね、知ってるわけか。
「ねえ、シド。話したいことがある」
「そのようだな」