第26章 私立リアリン学園!9時間目~シド~
~等価交換~
二時少し前。
けれど、私は今、シドとの待ち合わせ場所の校門へと急いで走っている!
と、いうのも。
校門に寄りかかる人影があって。
もうすでに、シドが待っていたのだ―――!
「どうしてっ、そんなに、早い、の?」
私は、息を切らして途切れ途切れに声を振り絞る。
「俺は、時間は守る。つうか、まだ時間前だ、慌てんな………なんだ、いつもの教師服かよ」
シドは、私を上から下までジロジロと無遠慮に眺める。
「だって」
これでも、昨夜、悩んだのにっ。
あんまり、オシャレするのもどうかと思って、無難なブラウスにブルーのギンガムチェックのフレアスカートというシンプルなコーデに落ち着いたのだ。
「もっとデートらしい格好してこいよ」
「デ、デートなの?」
「男と女が二人っきりで出かけたらデートだろ。行くぞ」
………そんなこと、考えてもいなかった!
「その髪はカワイイじゃねえか。ネコみてえ」
毛先を外ハネにして、頭の上で二つにクルリと束を作ったアレンジヘアにしてみたのだ。
カワイイって………。
顔を赤らめている私を置いて、さっさと歩き始めるシドに、慌ててついて行く。
「どっか行きてえとこあるか?」
「あのね、服を買いたいんだ」
「デートらしい服に着替えてえってことか?」
ニヤリと笑うシド。
「そうじゃなくて!明日、音楽会に行くから、その時の服を買おうと思って」
「ルイの演奏、聴きに行くのか」
「シドは行かないの?」
「そんなの行くわけねえだろ。じゃ、ついて来いよ。いい店連れてってやる」