第26章 私立リアリン学園!9時間目~シド~
「私は、学園のことなら何でも知りたいと思うのに、ジル教頭は、何も話してくれなくて。私には、関係ないって。教職に専念しろって」
「この学園には………ここに限らず、企業でもどこでも、少なからず厄介事を抱えているものだよ。ジル教頭は、それに対処する役割を担っている。けれど、君は教師だ。君には、そういったことで煩わせたくない、ゴタゴタに巻き込みたくないと思ってるんじゃないかな。何も君に意地悪しているわけじゃない」
「それは、わかっています。けど、こんなふうに疑問を持ったままじゃ、教職に専念するどころじゃないです」
「俺も、赴任してきたばかりの頃は、同じように悩んだよ。けれど、俺達にはどうしようもないこともある。これ以上詮索すると、職を失うことにもなりかねない」
『最終手段』
その言葉を思い出す。
本採用の教師だったら、そう簡単には辞めさせられることはないだろうけど、私はまだ『試用期間』だ。
シドが何をしているかを知ったら、最終手段を取らざるを得なくなる―――。
ジル教頭は、それが言いたかったんだ。
私は、ただの教師。
何ができるわけでもない。だから、好奇心で知ろうとしてはいけない。
………そういうことだよね。
ロベール先生の穏やかな笑みを見ていると、大騒ぎしているのは私だけなのかなと思えてきた。
ジル教頭に盾突いても意味ないよね。
というか、かなわないし。