第26章 私立リアリン学園!9時間目~シド~
学園長室を出て、静かな校舎をどこへともなく歩いて。
誰もいない階段の一番下に、ペタリと座り込む。
私って何なんだろう。
教師って何?
ただ、勉強を教えていればいいの?
ジル教頭は、『生徒の意見、要望、相談は個別に聞き入れ、どんな時でも親身に接する事』って、最初の時言ったよね。
………あ、シドは、生徒じゃないのか。
だから、これ以上、接触するなって?
なんか、納得いかないなあ。
フウッ。
盛大に、ため息をついてみる。
「マイン先生?」
えっ。
階段の上から、声―――。
慌てて立ちあがって振り向き、上を仰ぎ見る。
あ、ロベール先生、だったかな。
「ごめんね、驚かせちゃったかな」
ゆったりとした物腰の優しい笑顔。
品格のある大人な雰囲気のロベール先生は、ゆっくりと階段を降りてきて、私の横に立つ。
「ちゃんと話すのは初めてだよね。俺は、ロベール=ブランシェ。美術専科の教師だよ。学園長に呼ばれたのは、マイン先生だったんだ」
「はい………」
「ジル教頭が、ああして職員室の前に立っている時は、決まって誰かが学園長に呼び出しを受けた時だからね。何かキツイこと言われたのかな」
初めて話す相手だというのに、ロベール先生は、独特の雰囲気があって頼りになりそうで、何でも話してしまいそうになる。
誰かに聞いてもらいたいという思いに、かられているのもあるけれど。
それでも、シドのことは話せないので、慎重に口を開く。