第26章 私立リアリン学園!9時間目~シド~
「黒崎が、犯人だと思ってるわけだ」
「だって、他にいないでしょ?」
「そいつはどうか知らねえが。黒崎に近づくのは、やめとけ。報酬払う気あるなら、俺が代わりに調べてやるがな」
「結構です」
シドは、空いた猫缶をビニール袋に入れ、片付け始める。
私も足元の缶を拾い上げ、シドに渡す。
「このゴミ、どこに捨てるの?」
「缶は、燃えねえゴミの日にキッチリ出してるから安心しろ」
「そうじゃなくて!この缶が見つかっちゃったら大変だなと思って」
「お前が心配することじゃねえ」
ゴミの袋をキュッと縛っているシドを見ていると………どこかで、こんなふうにシドと会ったことがあるような錯覚を覚える。
気のせいだよね?
と―――。
急に私の方に向き直る。
な、何?
えっ!?
ゆっくりと、こちらに向かって手を伸ばしてくる―――っ。
は?
嘘っ。
なっ………む、胸に………触られる?
「やめ………っ」
その手を振り払おうと、片手を上げた瞬間―――。
スッ。
白衣の胸ポケットから、ボールペンを抜き取られた。
「何、期待してんだよ」
ニヤリと。
シドが面白そうに笑みを浮かべる。
「き、期待したわけじゃ………ちょっと、何、勝手に人の物を………あっ」
グイッ。
突然、手首を掴まれ、引き寄せられる。
抵抗しようとする私の指先を掴み、手を開かせる。