第26章 私立リアリン学園!9時間目~シド~
と―――。
「痛ぇっ」
シドが小さく呟いた。
え、え?
私は、何もしてない。
恐る恐る、目を開けると………。
慌てた表情のシドが、いる。
ニャー。
気づくと、シドの足元には猫達がまとわりついて、ガリガリと引っ掻いている。
ね、猫達が助けてくれたの………?
「チッ、催促しやがって。待ってろ、今持って来てやる」
シドは、さっきいた校舎の隙間に入って行く。
奥の方に置いてある古ぼけたスチール製の棚を開けて、猫缶を取り出す。
あそこにエサを常備してあるんだあ。
「今日はこれだけだ。エサ代もバカになんねえからな」
いくつかの猫缶の蓋を開け、地面に置いていく。
猫達は、夢中でエサを食べ始める。
あ………エサを催促していたんだ。
シドは、さっきのことなんか気にするふうでもなく、立ち上がって軽く伸びをしている。
私は、まだ胸がドキドキしているってのに―――!
「ココのことは、秘密にしろ」
「秘密に?なんで?」
「ジルに見つかりゃ、面倒くせえコトになるからな」
「どうしよっかなあ」
「あ?」
私の答えに、凄みのある顔つきが返ってきた。
けど、負けずに続ける。
「シドがニャンコと戯れてるって、皆に話したいなあ」
私は、イタズラっぽく言ってみる。
シドばかりが優勢でいるなんて悔しいから、ここぞとばかりに、うわ手に出る。