第26章 私立リアリン学園!9時間目~シド~
「学園長には、くれぐれもよろしくお伝え願いますよ」
何の話?
黒崎が、教頭になる?
ありえないでしょ!?
「ええ、では、失礼いたします」
電話が終わる―――っ。
私は、細く開けたドアをそのままに、そっと資料室を後にした。
電話の内容を聞いていたなんて知られたら、今度は何をされるか、わかったものではない。
奥の曲がり角に身を潜める。
おもむろに資料室から、黒崎が出てきた。
辺りをキョロキョロと見渡してから、職員室の方へと戻って行った。
黒崎の姿が完全に見えなくなってから、急いで資料を取りに行きながら、考える。
電話の相手は、誰だろう。
学園長によろしくってことは、学園長に近い人物。
『教頭の座は確約していただけるのですな』って、言ってたから、少なくともジル教頭ではないよね。
ジル教頭が辞めるから、その後任にって話なのかな。
なんでか、ジル教頭が辞めるとは思えないんだよね。ぴんとこない。
あ、でも私の知らない事情とかが、あるのかも。
黒崎は、どこかでジル教頭が辞めることを知って、次の教頭に自分をって、お願いしていたのかな?
キンコンカンコン~ ♪
予鈴が鳴り出した。
行かなくちゃ!
私は、足早に1時間目の授業へと向かった。