第26章 私立リアリン学園!9時間目~シド~
隠れてから、思う。
………あれ?隠れる必要なんてある?
だって、私はこの先の資料室に用があるんだし。普通に歩いて行って、黒崎と何かあったの?って、聞けばいいんだよ。
『マイン先生には、関係ありません』って、言われるのがオチだろうけど。
………そう思ったのに。
一度、隠れてしまったのに出て行くのもなあ。
と、すぐそばで急にピタリと足を止めるミシェル。
え………私に気づいた?
じっとこちらを見てるようだ。
けれど、少し首を傾げただけで、そのまま行ってしまった。
………よかった。
ほっとして、私も歩き出す。
資料室のドアを細く開けると、中から声が聞こえてきた。
誰かいる?
………あ、この声、黒崎!
そうだよね、黒崎は、こっちに向かって歩いて行ったんだから、いてもおかしくない。
けど、誰と話してるんだろう………。
とりあえず、私には気づいてないみたい。
「………はい、はい、ええ、こちらからお電話を差しあげるべきところを………ええ、とんでもございません」
………電話してる?
誰かから電話が掛かってきたようだ。
「………はい、ええ、ええ、もちろんです」
その馬鹿丁寧な、かしこまった受け答え。
相手は、よっぽどのおエライさんなんだろうな。
「では、教頭の座は確約していただけるのですな」
………え、今、なんて?
私は、一瞬固まる。
教頭の座?