第24章 私立リアリン学園!8時間目~ルイ~
「マイン先生は、この学園の教師になって、よかったと思ってる?」
「あ、私?」
唐突に話を振られて、一瞬、戸惑う。
「そりゃ、もちろん。だって、ずっと教師になるのが夢だったから」
「夢、叶ってよかったね」
「うん、すっごく幸せだよ」
しばしの沈黙ののち、ルイが意を決したかのように息を吐く。
「マイン先生をこの学園の教師にって推薦したの、俺なんだ」
「え?」
思いがけない言葉に、驚きの声を上げる。
「マイン先生の授業は受けたことなかったけど。すごく教え方が上手くて、いい先生だって評判だったから」
「やっぱり、ルイもあのゼミに通ってたんだね」
「うん。夏休みの間だけ」
「あれ以来、一度も会わなかったけど、古典を選択してなかったってこと?」
「特進コースだったから」
「特進!?」
ゼミの中でもトップのコースだ。
そんなクラスを、臨時講師の私が担当するわけがない。
教室も他のクラスとは別だったから、会うことがなかったのも当然だ。
それなのに、私の評判が聞こえてきたって………。
「私がこうして教師してるのって、ルイのおかげなんだね」
「違う。それは、きっかけにすぎない。他にも候補者はたくさんいただろうし、マイン先生は、選ばれて教師になったんだよ」
「じゃあ、きっかけを作ってくれてありがとう」
お礼を言うと。
「どういたしまして」
ふっと笑みを浮かべるルイ。
あまりにも麗しいその笑顔に、息をすることさえも忘れそうだ―――。