第24章 私立リアリン学園!8時間目~ルイ~
あ、邪魔じゃないんだ、よかった。
ゆっくりとルイへと近づき、ピアノの縁に手を置く。
「ねえ、さっきの曲、昨日も弾いてたよね?私、初めて聴く曲だよ」
「ウィスタリアでは、有名。定番の曲」
「ウィスタリアってルイの国?すごく綺麗な曲だよね。気に入ってるの?」
「音楽会で弾くから、その練習」
「音楽会?」
「有志で毎年開いてる。俺は、ウィスタリア代表でピアノ演奏することになってる」
「その音楽会って、ウィスタリアで開催するの?」
「ううん。今度の日曜に、ナントリーホールで」
私は、驚きに目を丸くする。
「ナントリーホールって!すごいね!国の代表ってことは、それって、とってもすごい音楽会だよね!?」
興奮でつい、声が大きくなっていく。
「そんなことない。普通だよ」
「普通じゃないでしょ!?だってナントリーホールって言ったら、最高峰の音楽ホールだよね!」
ピアノに手をついて身を乗り出す。
「そこでルイが演奏するってすごい!私も見てみたいなあ。絶対、絶対、素敵だよね!」
「そんなに言うなら………じゃあ、後でチケット渡す」
懇願するようにじっと見ていると、思惑通りの返事が返ってくる。
「本当!?嬉しいっ!!!」
嬉しさのあまり、ピョンと飛び上がる。
そんな私の様子を、少し驚いた顔つきで見ているルイ。
それから、突然、ふわりと、柔らかい笑顔になった。