第24章 私立リアリン学園!8時間目~ルイ~
あ、こっちに行ったら、音楽室。
………ルイって、今日もピアノを弾いてるのかな。
耳を澄ますと―――。
かすかにピアノの音色。
ゆっくりと音楽室へ向かう。
―――あ、やっぱり。ルイの、音だ。
きっといるだろうと思った。
なぜか、そう思った。
音楽室へ続く廊下を進むと、はっきりと聴こえてくる、あの旋律―――。
合唱コンクールの課題曲でも自由曲でもない。
知らない曲。
ルイの弾くピアノの音。
少しだけ、物悲しい。
けれど、心を洗われるような清らかさと、ふんわりと包み込むような優しさを感じる。
神秘的な表現力で、深く、強く惹き込まれるんだよね。
音楽室の前に辿り着く。
ルイに黒崎のこと相談したら、なんて言うだろう。
それに、今日助けてもらったし。お礼言わなきゃね。
けど、もう邪魔できない。
私は、曇りガラスに額を押しつけてみる。
………やっぱり、中は見えない。
ドアに寄りかかって、息をひそめ、ルイのピアノに聴き入る。
これなら、ゆっくりピアノの音色を堪能できる―――。