• テキストサイズ

【イケメン王宮・イケヴァン】りありん劇場♥R18

第24章 私立リアリン学園!8時間目~ルイ~




音楽室に向かう廊下を歩いていると、かすかに聞こえる、ピアノの旋律。

誰かがピアノを弾いてるようだ。

音は歩いていく度に近く、はっきりと聞こえるようになっていった。



音楽室から聞こえる、優しく、儚い夢のようなウットリとするような音色―――。

ドアの真ん中には、薄い曇りガラスが、はめられている。

そこから中を覗いてみるけれど、中の様子まで見ることができない。

仕方なく、そっと、ドアを細く開けて、中を覗き見る。



―――ルイ。



ピアノの前に座っているのは、ルイだった。

優雅な仕草で鍵盤を叩くその姿は、あまりにも神々しくて、思わず息を呑んでしまう。



「誰」



ピタリとピアノが鳴り止む。



あ………っと。



ルイと目が合う。

どこまでも優美な姿に見とれてしまっていて、すぐには声が出なかった。



「何?」


「ルイは、本当にピアノ上手だね」


私は、素直に思ったことを口にする。



「………」


「あ、ごめんね。邪魔しちゃって」


思いのほか冷たい表情のルイに気づいて、慌てて謝る。



「それで?マイン先生は、どうして音楽室に来たの?」


「え?」


ルイに聞かれて、ここに来た本来の目的は何だったか思い出した。



「これ、取りに来たんだよね?」


ルイが自由曲の楽譜の束を手に取る。



「あ、うん、そうなの。私、忘れちゃって」


「俺が片付けておくから」


「え、でも」



ルイは、それ以上何も言わずに立ち上がると、すっと私の前を通り過ぎ、振り返ることもなく音楽室を出て行ってしまった。



なんか………少しは親しくなれたと思ったのは、気のせいだったのかな。

やっぱりルイは、冷たくて。

誰とでも距離を取ろうとして。

………それは、私でも同じなんだね。



心がシュンとしぼんでしまったように、残念な気持ちでいっぱいになった。







/ 978ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp