第23章 私立リアリン学園!昼休み~シド&ルイ~
キンコンカンコン~ ♪
私の頭の上では、本鈴が鳴っている―――。
3年1組の教壇に立って。
教室を見渡す。
一番後ろの廊下側の席だけが、ポカリと空いていて。
そこは、ロイド―――ううん、シドの席。
いつも空いている席を見入る。
そして、ルイの言葉を思い返す。
『シド、今年で留年、何年目だっけ?』
つまり、シドは、留年を繰り返してるんだね。
ほとんど授業に出てないんだから、当然といえば当然か。
だから、私よりも年上で、学園のことにも詳しいんだろうね。
ユーリも言ってたもんね。
『シドはね、学園の便利屋さんなんだよ』
『用務員のおじさんってトコかな』
でも、用務員のおじさんって………。
私は、ついクスッと笑ってしまう。
ユーリから見れば、おじさんの部類に入るのかな。
それから―――。
『言うなれば、素行不良ってとこかな』
『悪いヤツではないが』
『彼はやめた方がいいと思います。泣くのは、絶対にマイン先生の方ですよ』
いろんな、皆の言葉が、駆け巡っていく―――。
『こういう機会に生徒会に恩売っておくのも悪くねえからな』
『何か頼みたいことや調べて欲しいことがあったら、いつでも言えよ』
『マイン先生なら、身体でもいいぜ』
悪びれたシドの言葉も一緒くたになって、頭の中がいっぱいだ。
………けど。
『それまで、これでも飲んでろよ』
ビールをくれたシド。