第23章 私立リアリン学園!昼休み~シド&ルイ~
「集計のエキスパートが不在なので、その間は俺が務めさせていただきます」
アルバートはそう言うと、ノート型パソコンを机に広げ、素早くキーボードを叩いていく。
………集計の、エキスパートって誰だろう?
アルバートだって、相当な腕前だけど。
今ここにいないのは、カインだから………カインがその『エキスパート』なのかな?
私達は、集計し終わった分をアルバートへと回していく。
「………早速、一つ結果が出ました。両宿舎間の行き来を自由にするとの校則は、却下となりました」
アルバートが、カタカタとパソコンを打ち続けながら言う。
「賛成票多いと思ったのにな」
「あ~あ」
ユーリとレオが、残念そうに顔を見合わせている。
その横で、ほっとした表情をして、こっそりと安堵のため息をつくミシェル。
「先生方の反対票が、圧倒的に多かったからです。マイン先生も反対票だったんですね」
「な、なんでわかるのよ!?」
アルバートに指摘されて、ギクリとする。
「筆跡でわかりました」
「ええっ?だって投票用紙は、賛成か反対に丸つけるだけだよね?それだけで筆跡が、なわけ?」
「はい」
慌てる私に、手を休めることなく自信あり気に答えるアルバート。
「冗談でしょ!?」
「マイン先生~、実はその校則、先生方全員一致の反対票なんだよ!」
ユーリが、笑いながら言う。
「え」
「アルもマイン先生相手だと、からかったりするんだね」
「貴様、余計なこと言うな」
カタカタカタッ………と、更にキーボードを叩くのが速くなっていくアルバート。
先生方全員一致の反対票か。
あ、だから私も反対って、わかったわけね。
そういうことか!
………けど、アルバートにまでからかわれるなんて!