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【イケメン王宮・イケヴァン】りありん劇場♥R18

第4章 ピアノレッスン~シド~




シドが情報屋というのを、初めに知った。

でも、実はグランディエ大公の子息で。

ロイド・グランディエというのが、シドの名前で。

………それ以上の事は、知らない。

身分の高い彼が、なぜ情報屋という危険な仕事をしているのかも。

知ろうとしても、教えてはくれないだろうし。

シドに関しては、わからない事だらけだ。





目の前の彼は、薄笑いを浮かべながら、私を見ている。

昨日、ジルから渡された招待状をシドに見せながら、簡単に説明をする。

「来月、開催されるウィルツの音楽祭に招待されたの。それで、その特別ゲストとして、ピアノ演奏をして欲しいって」

「それはそれは、大層、名誉な事で。それで?」

クッ、と、喉の奥で笑いながら、丁寧な口調で、そうシドが返す。

「………っ、それで、その時、演奏する曲が、二重奏なの。だから………シドが一緒に弾いてくれたらって思って」

思いきって言う。

「話は、わかった」

「え、じゃあ………」

受けてくれるんだ………私は、顔を綻ばせる。

「そういうのは、他にも適任がいんだろ、泣き虫ぼっちゃんとか」

泣き虫ぼっちゃん………それって。

「………ルイのこと?」

「アイツなら、お前の頼み、喜んで聞いてくれんだろ………それとも、何か?俺じゃなきゃいけねえ理由でもある、とか?」

シドが立ち上がって、私との距離を詰める。


………ち、近い、よ。

ドキドキと脈打つ鼓動を抑えつつ、考えを巡らす。

モー君に言われた言葉を思い出す。



『これは、彼自身だから』


シドをイメージして作曲した………言い換えれば、これは、シドのための曲。

けど、それをシドに伝えるのはどうかと、思い迷う。

と。

いつの間にか、吐息が触れる距離に迫っているシド。

「どうしてもって言うなら、考えてやってもいいが………その代わり、報酬は高くつくぜ?」

そう言うと、私の顎を指ですくって………。


近づく、唇。

あと、ほんの少しで触れてしまう―――っ!



「………っ、やっ………!」



シドの手を振り払う。







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