第23章 私立リアリン学園!昼休み~シド&ルイ~
………何を、見ているの?
私は、彼の視線の先を目で追う。
―――人?
誰かを探しているのかな?
でも、それにしては、辺りをキョロキョロするでもなく、ゆっくりと視線が動いていく。
なんていうべきかな、ここにいる全員を眺めているっていうか………。
「俺になんか用か?」
「………っ!」
不意に、その人が言葉を放つ。
独り言、じゃないよね?
………つまり、私に言ってる?
私は、意を決して声を掛ける。
学園内にいるんだから、不審者なはずはない。
そう、確信して。
「こんにちは」
「コンニチハ、ね」
彼は、可笑しそうに笑いを噛み殺している。
………その、どこか人をバカにしたような態度にムッとくる。
けれど、それを隠して、穏やかな口調で聞く。
「サッカーの試合を観に来たんですよね?」
「それ以外、何があるんだ?」
「だって………」
試合なんて、全然観てないじゃない―――そう言ってやりたかったけど、グッと堪える。
「試合を観てねえのは、そっちだろ?マイン先生」
「………」
―――私の名前を知ってる。
と、いうことは、やっぱり学園の関係者なんだ。
とりあえず、安心する。
「あの、あなたは?」
「シドだ」
「え、あなたが、シド?」
私は、ビックリして声を上げる。
「そんなに驚くことか?」
「だって、用務員のおじさんって言うから、てっきり………」
しまった!!!
私は、慌てて口を両手で押さえる。