第22章 私立リアリン学園!~カイン~ 情熱編
正直、あれが運命の出逢いなんて思っちゃいない。
あんなゴミゴミした街で、つまんねえ思いした、くらいの感覚で。
………まあ、あまりにもかわいいから、一瞬、釘付けにはなったけど。
それから、ウィスタリアに帰った。
ノアがドタキャンしやがったから、案の定あいつの分まで俺の仕事が増えて、毎日がすげえ忙しかった。
だから、マインのことなんて、頭の片隅にもなかった。
これは、本当だ。
あっという間に、ウィスタリアでの夏休みが過ぎて。
学園に戻ってきたら、芽瑠先生が辞めたと聞かされた。
元気が取り柄な先生ってイメージだったが、そういや、前から持病があって、薬飲んでるとは言ってたな………。
けど、病気が完治して世界一周旅行ってんだから、つくづく豪快な人だよな。
そんで、その芽瑠先生の後任で来たのが、マインだった。
大学出てまだ間もない、俺らとたいして歳の変わらない先生。
正直、この学園でやっていけるのかって単純に思ってた―――。
いつだって、少し緊張気味に教壇に立ってて。
華奢な身体してるくせに、無駄に声デカくて。
誰もノアが寝てるの邪魔するヤツなんていなかったのに、使命感に燃えて起こしてみたり。
なんか知らねえけど、いつも一人で張り切ってるしな。