第22章 私立リアリン学園!~カイン~ 情熱編
マインと初めて逢ったのは、夏休みの始めだった。
あの日は、ウィスタリアに帰る日だった。
ノアのヤツ、寝坊したうえに、電車の途中で具合悪くなりやがって………。
しばらく駅のホームで休んでたら、突然言い出した。
『この街、賑やかだね。ちょっと寄ってこー』
とりあえず、まだ時間もあったし、ノアが青っちょろい顔してるから、少し歩いたら気も紛れるかと思って、駅を出た。
思った以上に街は賑わっていて、その大半をコスプレした連中が占めていた。
………なんなんだ、この街は?
見れば、あちこちの看板に『メイドカフェ』の文字が掲げられている。
あー、なるほど。
そういえば、メイドっぽい格好してる女で溢れてる。
そういう街なのか?
………わっかんねえな。
メイドなんて、城に帰れば大勢いるし。
ったく。
自分でできることは、自分でやれよ。
メイドに何を期待してるんだ?
………まあ、文化の違いなんだろうな。
こういう、くだらねえ街は好きになれねえ。
あまりにもすごい人混みの中で―――。
トンッ。
腕に軽く引っかかりを感じた。
「………っ、あ、ごめんなさい」
ティッシュを配っていた女とぶつかったのだ。
それが、マインだった。