第21章 私立リアリン学園!7時間目~カイン~
それから、しばらく。
静かな食堂には、紙の上を走るペンの音だけが聞こえていた―――。
「ほらよ、完成」
カインが、テスト用紙をテーブルの上で滑らせる。
私のすぐ前に来た用紙を受け取る。
………ちゃんと書けてるじゃん。
英語ほどではないけれど、要点も言い回しもしっかりしていて、まとまった文章になっている。
和歌については否定的な記述だけど、確固とした自身の意見なので、これで良しだ。
カインが立ち上がって、後ろから覗き込んでくる。
「どうだ?」
「………っ、まだ読んでる途中!」
………近い、よ。
カインをすぐ後ろに感じて、ドキドキしながら読み進める。
この距離感に緊張してしまって、一気に汗が吹き出てくるようだ―――。
「な、なんか暑くない?」
「ん?あっ………ああ」
カインも気づいたようで、慌てて距離をとって………。
「くそ………っ、エアコン効いてるのかよっ」
壁にあるエアコンのスイッチを操作しだすカイン。
「読み終わったかよ。どうだ?完璧だろ」
カインが自身たっぷりに言う。
「悪くはないね」
「悪くはない、だと?」
「うん。だって、ちょっとね」
内容的には英文の時と変わらないけれど、やっぱり表現力の点では残念ながら劣ってしまう。
でも、母国語でないのに、ここまで書ければ大したものだ。
「よし。はい、合格!」
大きく丸をつける。